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 朝礼とは何か? 2002年08月19日

 夏休み明けの月曜日はつらい。夜更かしの癖がついていたものだから、昨日の夜はAM3:00すぎまで眠れなかった。それにこの台風。ばかじゃないの。日曜日に通り過ぎてくれれば、台風一過の夏休み明け、ということで、さわやかに心機一転というところだったのに。

 

ところで、わがテラハウスでは、学園本部と東京工科専門学校(東中野校)との合同朝礼が月曜日ごとに開催されている。スピーカーは、管理職の輪番制になっている。

 朝礼は、どこの組織、会社でもあると思うが、ここで、朝礼スピーチのチェックポイントをきままに列挙しておこう。

 1)世間話(あるいは最近会った人の話)に終始するスピーチ

 2)最近見たテレビの話に終始するスピーチ

 3)最近読んだ本の内容に終始するスピーチ

 これらのスピーチは、会社のこと(あるいは部下のこと)を全く考えていない管理職のスピーチと考えていい。バブル時代によくあったスピーチかもしれない。

 4)上記3項をネタに一般的な心構えや倫理を主張するスピーチ

 5)上記1〜4とは、全く別に、会社の“危機”を訴えたり、目標達成できない数字の現状をあげつらうことしかできないスピーチ。最近よくあるスピーチ。

 これも何も考えていない管理職のスピーチ。これらのスピーチの特徴は、管理職が〈具体的なこと〉を何も言えなくなっている、ということである。これこそが組織の危機だ。細かいこと(あるいは事実)と具体的なこととは、別のことである。管理職は細かいことを言う必要はないが、具体的なことはいつも考え続けている。〈具体的なこと〉とは何か?

 たとえば、最近の私の(めったにない)ヒット作で言えば(これでも管理職の末席を汚している私のヒット作で言えば)、朝のコピー禁止、という具体策である。わが学校テラハウス(http://www.tera-house.ac.jp/)は、朝9:00出勤、9:20授業開始であるが、朝、教員が教材作成のための印刷を9:00からやり始める(場合が多い)。そうすると9:20からの始業に間に合わない場合が出てくる(合理的には間に合っても、印刷にはアクシデントが起こりうるからだ)。

 これまでは、「前日までに教材を用意しておこう」という指示だった。あるいは、9:20授業開始「厳守」というものだった。こんな指示は、(くだらない朝礼のスピーチと同じで)なんど繰り返しても誰も守らない。守らない人間も、なんらかの怠惰や非常識によって守っていないのではなく、もとから守れない、抽象的な指示なのである。まだ指示(=管理)が具体的ではない。

 というのも、朝9:00以降の印刷であっても、授業始業に間に合う場合はあるだろうから、どこまでの印刷がダメな印刷で、何処までの印刷が許される印刷なのかの線引きをすることなどできないからである(まるで探偵のような猜疑心をもって職員を調査・監視し続けねばならない)。それは守るのが難しいルールになってしまう。場合によっては、授業を9:20に遅れることなく開始するよりももっと難しい問題になる。難しい管理は、管理ではない。守るのが難しいルールの原因は管理するのが難しいルールにあるのである。

 あるときふと思ったのが、そもそも朝コピーを禁止すればいいじゃないか、ということだった。そうすれば、いやでも前日までに印刷は終了することになる(終了せざるをえない)。朝、コピーをしている者は、それだけで(単純に=具体的に)ルールの違反者である。誰が見ても誰が違反者なのかはすぐにわかる。こういったルールは、「厳守」ということをことさらに言わなくても(あるいは常識や努力や善意に訴えなくても)、実行される。指示が具体的だからだ。朝コピー禁止以来、教材の印刷遅れによる始業遅れは皆無になった。

 ルールを作るということは管理職の大切な仕事だが、守れないルールを作るというのは管理職の恥だ。守れないルール、守られないルール(あるいは達成できない目標、達成されない目標)に満ちている会社や組織ほど、その管理職は、倫理や教養や勉強(読書)が好きで、“訓話”を話したがる。それは抽象的なルールのあだ花なのである。守れないことを個人の素質であるかのように倫理化するのである。なんと窮屈で退屈な会社あることか?

 守られるルールというのは、具体的でなければならない。そして、そういった具体性を積み重ねたり、発見することこそが管理職の日常である。朝礼は、まさにこの一日(この一週間)をどんな具体性の中に集約するのかの宣言なのである。だから朝礼に訓話や叱咤激励はいらない。

 さて、あなたは昨日どんな朝礼を聞きましたか(しましたか)? 仕事の中に、〈具体的なこと〉を見つけていますか? 管理職に、倫理や教養は必要ありません。〈具体的なこと〉に対するセンスだけが、リーダーシップを形成しているのです。

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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