マンション購入法10箇条 2001年08月14日
私は、大学時代に東京に出て来て以来、4回、マンションを買い換えています。新宿区高田馬場(山手線・東西線)、江東区東陽町(東西線)、世田谷区千歳台(京王線)、世田谷区南烏山(京王線)と転地してきました。最近、友人のマンション購入をサポートした経緯もあり、この際、私のノウハウを10箇条にまとめてみました。超低金利と都心回帰の今、マンションは買い時だと思いますが、参考になるでしょうか。
1)大規模マンションを買うこと。これ以外にはない。最低でも200戸以上のマンションにすること。そうでなければ(特に100戸以下のマンションは資産管理という点で大変危険)、10年後、20年後の大規模修繕時に、買った当初の2倍、3倍の管理費、あるいは修繕積立金を払わされる羽目になる。そんな高い管理費、修繕積立金のマンションでは売ることさえもできなくなる。管理費、修繕費だけではない。駐車場代も大規模であれば、月額1万円を切る。さらに施工状態も大規模であればあるほど優秀な“現場監督”が担当するから信頼できる(ことが多い)。施工状態は、「ゼネコンだから」というより、規模で判断した方がいい。ゼネコンであっても、中規模以下は、いいかげんな“現場監督”が管理していることが多い。手抜きも多い。手抜きが多くてもとりあえず施工をだませるのが中規模マンションだと考えた方がよい。また、規模がおおきいと空地率も70%を超えたりし始めるから、敷地内にゆとりができ、荷物の出し入れや来客者の車の処理なども外来の交通に煩わされずに敷地の中で余裕をもって対応できる。すべてのことに目をつむっても、大規模以外には絶対手を出してはいけません。
2)駅から近いマンションを買うこと。駅から近いと住宅用以外の需要が生まれ、資産価値が高まる(値段が下がりづらい)。駅からの近さは、「肌の白さ」と同じように「七難隠す」。「七難隠す」ことができるのは駅から5分以内。
3)㎡規模の小さい住戸が全体の割合の多くを占めるマンションを避けること。2)と矛盾するようだが、㎡規模が小さいと(2DKやワンルームが多いマンション)、居住者や所有者の出入りが頻繁になり、管理環境が悪化しやすい。できれば70㎡、80㎡以下の住戸が一戸もないようなマンションが最適。
4)南向きの住戸を買うこと。やはり向きの差は大きい。南向きと他の向きであれば、夫婦げんかの数が40%は減少するだろう。北向きは快晴の日でも暗い。東向きは午前中のわずかな時間を除けば北と一緒。西向きはただ熱いばかり。南向きは、冬の朝、起きたときに部屋が暖かい、サッシに水滴がつかない(カーテンが汚れない)、風の通りがよい(換気力がある)、家具や書籍が傷まない、外出する(散歩する)気が起こる、概してエアコン代が年間で半分になるなど値段の高さの価値は十分にあります。
5)自分の買う住戸が、そのマンション全体の中で一番安いくらいのマンションを買うこと。自分以外はすべて金持ちという環境であれば、マンション内を歩いているだけでも、エレベータの中であっただけでも、理事会メンバーになっただけでも何か得をすることもあるだろうということ。その逆は悲劇。
6)何階を買うか。最上階か、角部屋か。これは難しい問題だ。最上階は、階上の音が一切しないという意味では快適だが、夏の暑さや経年後の雨漏り、また場合によってはテラスの雨の吹きつけなど心配な要素もある。はっきりしていることは、せっかくマンションを買うのだから、リビングでもパンツ一枚でいられるくらいの環境(外から見られない環境)を選ぶことでしょう。戸建てを買わずに、マンションを買うことの最大のメリットは(予算が仮に7000万円以内として)、圧倒的な眺望のよさとプライバシーの保持ということでしょうから、それを考慮すれば、自ずと答えはでてくると思います。ただし、10階を超えると外へでる気がなくなります(10階以上は子育てに良くない)。1階は湿気が多すぎて快適ではありません(地震のときも低層階は危ない)。中層階はかえって騒音(交通騒音など)が気になる場合がある(1階の方がかえって静かな場合もあります)。角部屋が気分がいいのは、眺望の開放感だけではなく、テラス側の隣住戸との境がパネル一枚程度でしか仕切られていないことを緩和できることです。テラスの両サイドがパネル一枚でしか仕切られていないというのは、決して心地よくありません。
7)周辺が住宅地(昔ながらの住民がいるということ、少なくとも2世代目の住民がいること)というのがいい。大規模マンションがいいといっても、周辺も大規模マンション、大規模ビルが並び立つというのは、よくない。特に小学生くらいの子供がいる家族では、子育て環境という点で人工都市のような環境はよくない。その地域にすむ人がすべて移住者という環境(たとえば、江戸川、浦安、幕張地域の湾岸人口都市)では子供は育たない。子供は家庭だけではなく、〈地域〉で育つ。公園で遊んでも、本屋さんに立ち寄っても、あるいは道を歩いていても、声をかけてくれる人がいること、これは移住者ばかりが住む新興地域では期待しづらいことだ。移住者の街というのは、いつかまたその地を移住する者が住んでいる街を意味する。つまり死者が存在しない街を意味する。これでは、〈地域〉という概念は成立しない。
8)壁式コンクリート造のマンションは買わないこと。低層式(5階以下程度)のマンションでは、壁の厚さで強度をもたせている壁式コンクリート造のマンションが多い。これを業者は、「柱と梁の出っ張りがないため、隅々まで使えます」と言ったりしながら販売しているが(最近では梁や柱のでない工法が工夫されて、壁式でなくても梁や柱は、室内にでないようになってきている)、このマンションは、逆にそれが命取り。間取りを仕切る壁自体がコンクリートのため、間取りの変更がきかない。10年ほど住めば、家族の構成も変わって、間取りを変えたいと思ったときに、融通がきかないのが壁式の最大の弱点。不況が続き、買い換えサイクルが長くなってきた今、家族構成の変化に追随できない壁式は敬遠した方がよい。この意味でも50戸以下の中規模マンション(比較的、壁式が多い)は買わない方がいい。
9)最近のマンションを買うなら、スラブ厚(床コンクリートの厚さ)が25センチ以上(20センチ以下はどれもこれもたいした違いはありません)、天井高も2メートル60以上、サッシの高さも2メートル以上といった高規格のものを買うことです。明らかに“違いがわかる”という感じです。それ以外の“違い”はどれもこれも同じです(内装の作りに気をとられてはいけません)。特に都心の再開発地の高層マンションはいやでも買うしかありません。子育ての終わった40代の夫婦には最適じゃないでしょうか。
10)内装は、自分で変更できるものと思えば、それほど気にすることはないと思いますが、そのマンションの格(設計の丁寧さ)を示すもので言えば、玄関周り、トイレ周り、巾木(室内の壁の最下部、床に接する所に張る、化粧用の横板)が着目点です。玄関周りが大きくとってあるマンション、トイレにタンク兼用ではなく、きちんと別個に手洗い洗面があるマンション、巾木がプラスティックなどの合成品ではなく、きちんとした木製(木目を見せる ― )になっているものは、全体的に設計が親切なマンションです。はやりのウッディフロアーなどは、アトピーなどの“病人”がいない限り、こだわる必要はありません。声は響くし、腰にも悪いし、ほこりは目立つし、どこがいいのでしょうか。いずれにしても、マンション購入は自分の努力ではどうにもならない1)~9)の項目を重視して買うのが賢明です。内装の華々しさに目を奪われないようにしましょう。
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