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 嗚呼、加藤紘一… 2000年11月21日

 加藤紘一の敗北の理由は、はっきりしている。

結局、「国民支持率」以上の問題点をえぐり出せなかったということだ。つまり政策的対立点を取り出せなかったということだろう。

彼は、財政構造改革派と言われている。しかし財政構造改革と景気刺激派(森現政権がそう呼ばれうるとして)とは対立などしていない。どちらへ転ぶかは、時間的な問題にすぎないからだ。どちらも、互いの必要性を認めている。つまり財政構造改革を必要ないという人はいないし、景気刺激を必要ないという人もいない。違いはどの地点で政策を転換するか、という現状分析の問題にすぎない。現状分析の問題である限り、議論は噴出するに違いない。つまり明確な政策対立の問題にはならない。

 私は、財政構造改革(派)と景気刺激(派)という対立軸は不毛だと思う。両者が隠してしまっているのは、〈規制緩和〉という大政策である。〈規制緩和〉こそが、債権も発行する必要もなく、財政の緊縮化という“暗い”イメージにとらわれることもない最大の政策なのだと思う。

 みなさんは、携帯電話の何兆円という市場が、何で生まれたかご存じですか? NTTが独占していた電話市場を、法律一つを変えただけで(国債を一切発行することなく)、最高の景気刺激を果たしたわけです。

 これが可能だったのは、まさに(非自民としての)細川政権(細川政権の唯一最大の功績かもしれない)だったからです。加藤紘一が示すべきだったのは、こういった誰もが感じている第二、第三の規制緩和政策だったわけです。にもかかわらず、これが示せなかったのは、多くの族議員を自らの派閥内に抱えていたからでしょう。「構造改革」の対象は、ここにこそ求められるべきだったわけです。それを回避したスローガンが、「国民支持率の低下」ということだったのです。これでは、加藤支持が本格化するわけがありません。支持が広まったかに見えたのは、「おもしろいことになるぞ」といった物見遊山的な視野からでしかありませんでした。

 次世代の真のリーダーは、規制緩和の対象を的確に示せる人でしょう。借金(国債発行)をしないで景気を刺激することができるのは、〈規制緩和〉しかないのに、なぜ、だれもそのことを口にしないのか。与党に族議員が、野党に労組の代表がいるかぎり、またそういった勢力が与野党で幅を利かせている限り、この国の政治も経済も何も変わらないということかもしれない。

 あっけにとられてしまった政治劇のあとで、今(深夜の12:45)、私は8チャンネルフジテレビ(「チノパン」という番組)を見ているが、久保田利伸をゲストに招いた若い女の子が、新聞紙を片手に手品をみせようとしている(その新聞を指でぼろぼろに穴をあけていたが)。その新聞がなんと20日の夕刊で「加藤・山崎除名」とでかでかと書いてあるのを目撃してしまった(これは生放送なのだ!)。その女の子は、何も知らずに「何の変哲もない新聞ですが」と手品言葉でその話題をすり抜けていた。久保田利伸も呆気にとられたらしく、「この番組は3点です」といって、番組は終わった。これが日本の政治状況というものだ。

 年老いた政治家たちが余命を長らえるべく、反加藤でまとまりながら、(笑みさえ浮かべながら)うそぶいているのは、何とも不快な光景だった。どこの世界でも、こういったことはおこりうる(悲劇が再生する)と思うと、やりきれない気持ちになってしまう。加藤さん、あなたは何を思って、〈先〉を走ったのだろう。いやな気分にさせられた一夜だった。


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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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